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1月11日読了時間: 5分
換気扇の向こうには(試し読み)
(※試し読み版につき、途中までの公開となります。全編はアンソロジー【心のひだまり】に収録されていますので、気に入っていただけましたら、入手のご検討をよろしくお願いいたします。詳細は下にて) カタカタカタ、とキーボードの上に走らせていた指を止める。 知らず、ノートパソコンに近づいていた体を離して、ふう、と息を吐き出した。 テーブルに置いていたマグカップを持ち上げ、ほんのりと苦いコーヒーを一口飲む。 引っ越しを終えた翌日から仕事に打ち込むなんて、我ながら真面目すぎるのでは、と今になって思った。 とても、職場を辞めたばかりの人間とは思えない。 まあ、ライターの仕事が嫌いだったわけじゃないからなぁ、と一人で苦笑いする。 パソコン画面の右下を見て時刻を確認すると、もう昼食をとってもいい頃合いだった。 「ご飯、作るか」 ぽつりと呟いた言葉は、静かな和室によく響く。 ノートパソコンを閉じて、私はすっかりへたっている座布団から立ち上がった。 二十八歳の女が一人で田舎に越してきたことは、時に早い判断だと思われるのかもしれない。...
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