一昨日も、昨日も。そして今日も、手に取った服の皺が気になった。
服の皺なんて、当然のようにあるもののはずなのに……どうして目につくんだろう。
毎朝、ほんの少し不思議に思ったことが、皺ひとつない綺麗な服を見つけて、ストンと、腑に落ちた。
クローゼットの一番奥。君が暮らしていた痕跡が、まだ残っている場所。
君がまだここにいたら、クローゼットの手前に入れた服を見て、「ぐちゃぐちゃ」だと怒ってくれたのかな。
それとも、それさえも別れる理由に変わってしまったのだろうか。
……あぁ、分かってる。こんな風に考えを巡らしても、君は帰ってこないのだと。
それでも、今日は慎重に、綺麗に服を畳んでみようかと、そんなことを思ったんだ。
fin.
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