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【600字以下】君の痕跡

  • 執筆者の写真: 結之志希
    結之志希
  • 2023年9月2日
  • 読了時間: 1分

 一昨日も、昨日も。そして今日も、手に取った服の皺が気になった。

 服の皺なんて、当然のようにあるもののはずなのに……どうして目につくんだろう。


 毎朝、ほんの少し不思議に思ったことが、皺ひとつない綺麗な服を見つけて、ストンと、腑に落ちた。


 クローゼットの一番奥。君が暮らしていた痕跡が、まだ残っている場所。

 君がまだここにいたら、クローゼットの手前に入れた服を見て、「ぐちゃぐちゃ」だと怒ってくれたのかな。


 それとも、それさえも別れる理由に変わってしまったのだろうか。



 ……あぁ、分かってる。こんな風に考えを巡らしても、君は帰ってこないのだと。


 それでも、今日は慎重に、綺麗に服を畳んでみようかと、そんなことを思ったんだ。



fin.

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