top of page

【600字以下】迷い込んだ■■■

  • 執筆者の写真: 結之志希
    結之志希
  • 2023年9月2日
  • 読了時間: 1分

更新日:2023年11月29日


 気がついたら、どことも分からない真っ白な場所にいた。


 首を傾げてみる。さらりと髪が垂れた。でも視界の端に映ったのは、いつもと違う白色だ。


 なんでだろう。右手で髪を持ち上げてみる。ひんやりしていた。



 じーっと見つめても白い髪は黒くならないので、今度は手を伸ばしてみた。もやに触れているような、不思議な感覚だ。

 すり抜けるわたに触れている感じ、というのが一番近いかな。

 いや、やっぱりどんな言葉も違う気がする。



 動く度になにかがふわふわとまとわりついて、でも邪魔にはならなくて。


 てくてくと、壁と床、天井の境目も分からない場所を歩いてみる。


 けれども、ごつんと、突然硬い壁につま先がぶつかった。


 いてて。



 弾き返されるように、後ろに尻もちをついて、目の前を見上げる。他の場所と、なんにも変わらない。


 透明な、壁?



【――? ――――――……――――、――――――――――――】



 その時、なにかが喋った。声も聞こえないし、言葉も分からないのに、何故かそう感じる。


 ふと、眠気に襲われて、まぶたが重くなった。


 うと、うと。あぁ、もうだめだ。耐えられない……。



――――――――


―――――


―――



「ひかりー? まだ寝てるのー?」



 気がついたら、布団の中にいた。重たい目をこすって時計を見ると、7時17分。


 大変。遅刻しちゃう。


 わたしは慌てて、布団の中から抜け出した。



fin.


最新記事

すべて表示
一般文芸っぽい文章の練習

タイトルの通り、普段のケータイ小説的、あるいはライトノベル的文章ではなく、一般文芸寄りの文章を練習した結果の書き散らし集です。  ストーリー性はほぼなく、苦手な文体を練習して1シーン書いてみただけなので、暇潰しに文字を読みたい方にオススメ。 (※つまり読み物には向きません)...

 
 
 

コメント


© 2035 トレイン・オブ・ソート Wix.comを使って作成されました

bottom of page