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【600字以下】13歳の誕生日

  • 執筆者の写真: 結之志希
    結之志希
  • 2023年9月22日
  • 読了時間: 3分

・晴れver


 目が覚めると、ワクワクで胸がいっぱいになった。

 なんてったって、今日は僕が13歳になる日。

 13回目の、誕生日なんだ。


 窓を見ると、カーテンはまだ閉まっている。

 僕はゴソゴソと布団から抜け出して、窓の前に立った。



 シャッ



 勢いよくカーテンを開けると、僕の体に日差しが降り注ぐ。

 ちょっと眩しいや。少し目を細めて、顔を横に背ける。


 窓の外を見ると、青い空が広がっていた。

 うん、いい気持ち。


 少し考えてから、よく伸びをしているお父さんの真似をして、ぐ〜っと腕を上に伸ばしてみる。

 なんとなく、スッキリした。



 ピピ、ピピピ、ピピピピピ…



 後ろでアラームが鳴って、「遅いぞ」と振り返る。

 僕はにんまりと笑いながら、しゃがんでアラームを止めた。

 今日は目覚ましよりも先に起きれたんだ。ふふん、僕ってば凄いかも。


 ぴょんと、跳ねるように勢いよく立ち上がって、部屋を出る。

 フローリングがひんやりしているのを足の裏で感じながら、リビングに向かって歩いた。



 今日の朝ごはんはなんだろう。

 今日はどんな1日になるだろう。


 なんてったって、今日は僕の誕生日だから。

 楽しくて、嬉しいことがいっぱいな、いい日になるはずだ!



「お母さん、おはよ〜!」




fin.





・雨ver


 目が覚めると、ワクワクで胸がいっぱいになった。

 なんてったって、今日は僕が13歳になる日。

 13回目の、誕生日なんだ。


 窓を見ると、カーテンはまだ閉まっている。

 僕はゴソゴソと布団から抜け出して、窓の前に立った。



 シャッ



 勢いよくカーテンを開けると、僕の体に日差しが降り注ぐ。

 窓の外を見ると、空は灰色の雲に覆われていて、雨が降っていた。


 雨かぁ……。

 ちょっと残念な気持ちになったけど、ううん、と首を振る。


 雨の日だって楽しいさ。

 湿った匂いは心をくすぐるし、傘に当たるパチパチとした雨音は聞いていて飽きないし。

 道路にできた水溜まりは、踏んでも飛び越えても楽しい。

 長靴だって、雨の日しか履けないんだ。


 そう考えていると、僕のほっぺたは緩んできた。


 う〜ん、と少し考えてから、僕はよく伸びをしているお父さんの真似をして、ぐ〜っと腕を上に伸ばしてみる。

 なんとなく、スッキリした。



 ピピ、ピピピ、ピピピピピ…



 後ろでアラームが鳴って、「遅いぞ」と振り返る。

 僕はにんまりと笑いながら、しゃがんでアラームを止めた。

 今日は目覚ましよりも先に起きれたんだ。ふふん、僕ってば凄いかも。


 ぴょんと、跳ねるように勢いよく立ち上がって、部屋を出る。

 フローリングがひんやりしているのを足の裏で感じながら、リビングに向かって歩いた。



 今日の朝ごはんはなんだろう。

 今日はどんな1日になるだろう。


 なんてったって、今日は僕の誕生日だから。

 楽しくて、嬉しいことがいっぱいな、いい日になるはずだ!



「お母さん、おはよ〜!」




fin.


(異父弟への誕生日プレゼントに書きました)


(最初は晴れで書いてたんですけど、天気予報を見てみたら、異父弟が住んでるところは雨になってて…)

(慌てて雨バージョン書きましたよね( ˙꒳​˙ ))

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