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【600字以下】水の入ったコップ

透き通ったガラスのコップ。その中に入った水が半分ほどだったら。“もう半分”かと捉えるか、“まだ半分”と捉えるか、という話があるらしい。 僕はきっと、もう半分かと思うだろう。 そんなことを、実際に半分まで水が減ったコップを眺めながら思う。 「なーにしてるの?」...

【600字以下】時計

チク、タク、チク、タク……。 僕は秒針の音が好きだ。針が動く様も、見ていて飽きない。 友達からは変わった趣味と言われるけど、この心地良さが理解できない周りの方が変わってる。 そう思うのも、またおかしいと言われるのかもしれない。...

【600字以下】迷い込んだ■■■

気がついたら、どことも分からない真っ白な場所にいた。 首を傾げてみる。さらりと髪が垂れた。でも視界の端に映ったのは、いつもと違う白色だ。 なんでだろう。右手で髪を持ち上げてみる。ひんやりしていた。 じーっと見つめても白い髪は黒くならないので、今度は手を伸ばしてみた。もやに触...

【600字以下】君へ、おやすみ

本当はね、こんなことしたくないんだよ。私は君といる時間が心地よかった。 幸せというのは、君と共にあるんだと、本気で思っていたんだ。 ザクッ……パララ…… ザクッ……パララ…… 頬を伝って、雫が落ちる。君に、まばらな雨が降る。 掘り返した土を、君の体にそっとかけて。...

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